“Don’t Know Where” インタビュー 2

CDと違うじゃない、と言われるかもしれませんが、それはそれでいいと思うんですよ。CDとライヴは別物ですから。

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― 今回のレコーディングでは、ギターは何本使われました?

K-Go: メイン・ギターであるジャズマスター、ムスタング等…計5本くらいです。 意外かもしれませんが、グレッチ、レスポールも使ってます。

― 高城(Kidoh Taki)さんがミックス、マスタリングで素晴らしい仕事をされていますね。ケイゴさんの期待通りでした?

K-Go: はい。お互いに会える時間は少なくて、パソコンでのデータのやりとりを駆使して作ったのですが、それを考えたら大満足です!高城さんは、才能があるだけでなく、こちらがリクエストしたことにきっちり応えてくれる。それが素晴らしいです。

―”You’re My Story”は、私は70年代末~80年代初頭のAORを連想させるのですが、ああいったソフトな曲、特にケイゴさんのヴォーカルがマッチしていると思うんですよ。

K-Go: そうですか!有り難うございます。ああいうクリーンなサウンドの曲ももっと書こうかなあ。

― ケイゴさんの書く歌詞は、ロマンチックで切ない内容のものが多いですね。ある意味ケイゴさんが影響を受けた90年代のグランジ~オルタナティヴ・バンドと対極の部分もありますよね。

K-Go: 歌詞の面では僕は特に影響を受けた人はいないと思います。ただ、Dinosaur Jr.やLemonheadsといったバンドに通じるところがあるんじゃないかな。切ない、うらぶれた感じの…。

ロックって、例えば強面のスラッシュ・メタルやハード・コア・バンドのメンバーが意外に礼儀正しくてまともだったりするじゃないですか?

― はい(笑)

K-Go: あんなポップな音楽を作っているブライアン・ウイルソンが実は病んでいたり…(音楽は)そういうギャップがいいんですよね。

― なるほど、わかります。今回インタビューさせて頂くにあたって、自分のブログの過去のエントリーを全て読み返していたら、”Heavy Rainy Day”はライヴでのギターの難易度が高いので、歌詞はシンプルにしているというケイゴさんの発言が出てきました。

K-Go: はい。やはり実際のライヴを想定して、曲と歌詞のバランスは考えてますね。多少歌詞の順番を間違えても大丈夫な構成にしています。

― 歌詞を含め、曲が時間が経つごとに変化していくのも面白いところなのでしょうね。そういえば、以前安蒜さんが”Don’t Know Where”を練習していて、新しい叩き方を見つけて曲そのものが成長していく面白みを感じたと言っていましたよ。

K-Go: そうなんですよ。練習の時に安蒜さんがふと面白いフレーズを叩いて、CDとは違うけどそれいいね!って、それ以降ライヴでの叩き方を変えた、なんてこともあります。あれ?CDと違うじゃない、と言われるかもしれませんが、それはそれでいいと思うんですよ。CDとライヴは別物ですから。

Cheap Trickもそうですよね。有名な”I Want You To Want Me”も、最初のレコーディング・バージョン(「In Color」)と、「at Budokan」バージョンは全然アレンジ違いますし…。

― ええ。ライヴでのリック・ニールセンのギターのフレーズも、年代ごとにどんどん変わっていってます。

K-Go: ただ、次のHoneydewのアルバムでは、ダビングも少なくしてギターの音をガツンと前面に出そうかな、という考えもありますけどね。もっとストレートな曲で、ストレートな音で。

― ”Little Rusty Lemon”を最初に聴いた時思い浮かんだのが、音楽性こそ違うんですがVan HalenやLoudnessだったんです。

K-Go: どちらも大好きなバンドですよ!Loudnessで特に好きなのは「Jealousy」というミニ・アルバム(1987)とか、「Hurricane Eyes」(1987)、Van Halenは1991年の「For Unlawful Carnal Knowledge」までですけど…91年というのはやはり僕にとって転機で、グランジ、オルタナティヴの台頭で音楽の趣味ががらっと変わってしまいました

当時の友達からSonic YouthやRamones等色々なバンドを教えてもらって、へえ~こんな音楽があったんだと。カルチャーショックでしたね。

― 以前Honeydewのサイトのトップ・ぺージには”オルタナティヴ・ロック”という文字がありましたが、Honeydewの音楽性はオルタナティヴ・ロックだという自負がある?

K-Go: う~ん、実は自分ではよくわからないんですよ。

― もう単純に”ロック”でいい?

K-Go: いや、単純に”ロック”でも抽象的でじゃあどんなロックなんだ?思われると思いますし…。本心ではHoneydewは”オルタナティヴ”だと思うんですが、日本で”オルタナ”という4文字の言葉があるじゃないですか。あの”オルタナ”をグランジと考える人が多くて、僕の好きなLemonheadsのようなポップなバンド、USインディーと呼ぶそうですが 、は含まれないことがわかって。ならオルタナではないかなと。

Honeydewをパワーポップとみなす人もいれば、シューゲイザーとみなす人もいて。今回CDを置いてもらった全国のCDショップでも、色々なジャンルを引き合いに出してHoneydewを紹介していただいています。

色々な音楽の要素が雑ざっているという点で、昔言われたジャンルのミクスチャー・ロックとは違う意味でのミクスチャー・ロックといえるかもしれませんね

― その、Honeydewのミクスチャーのセンスって、作ろうと思って作れるものじゃないと思うんですね。経験豊富なケイゴさんならではの、皮膚感覚レベルで身に付けたセンスというか。

K-Go: それを分かって頂けるだけで嬉しいです!

― ”Wake Me Up”は私は90年代初期のオルタナティヴ、シューゲイザーバンドを連想しました。

K-Go: はい。やっぱりMy Bloody ValentineとかLush あのあたりのバンドに影響を受けているかもしれません。物悲しいんだけれど、ポップ・センスを備えていて。”My Honeydew”もそういう曲ですよね。

(ここで、パクリとオマージュの違いについて。また80~90年代ケイゴさんが影響を受けたオルタナティヴ、ミクスチャー・ロックについて語りあう)

― 安蒜さんの前任のドラマーは、安蒜さんとは違って非常にパワフルな、タイトさよりはヘヴィネス重視のドラミングが特長でしたが、彼が加入した時はバンドの音楽性をよりハードな方向に進めようという意図があったのでしょうか?

K-Go: 元々僕はキース・ムーンが大好きで、ドラマーのオーディションをした時に彼がそのイメージにぴったりだったんです。それですぐに決まりました。特に音楽性云々ということではなかったですね。

K-Goインタビューpart3へつづく