“Don’t Know Where” インタビュー 1


photo by Tomoaki Makino

Honeydewのライヴをはじめて生で見たのは、2010年の4月のこと(下北沢のライヴハウスReg)。今だから言えることだが、ケイゴさん、じゅんこさんと共通する私のフェイバリット・バンド「Cheap Trick」というキーワードがなければ、会場まで足を運ぶことはなかったかもしれない。オルタナティヴ、グランジ、シューゲイザー…バイオグラフィにそんな音楽ジャンルが並ぶHoneydewの曲、音は、ネットで見る(聴く)限り 私的に決してストライクとはいえなかったから。心地よくはあっても、線が細くいまひとつ決め手に欠ける。そんな印象を持っていたのだ。

ところが、生で見るHoneydewは想像を超えるインパクトを持ってこちらに迫ってきた。演奏は粗い部分も散見されたものの、そのパワフルなサウンドとキャッチーな楽曲に一気に魅了されてしまったのだ!

その初ライヴから1年4か月後。Honeydewは、ついに1stアルバムをリリース。「Don’t Know Where」は、多彩でありながらも一本筋の通った、親しみやすいロック・アルバムだ。このトリオにしか生み出せない独特のサウンドは、深い音楽素養とバンドの自然な進化の結果なのだと、バンドのブレインであるケイゴさんに話を伺ってはっきり確認できたのである。

(インタビュー/テキスト:鈴木恭太

僕にとって音楽は曲そのもの… メロディであり、リズムなんです。

― まずは、アルバム完成おめでとうございます!やってくれるだろうとは思っていましたが、正直ここまで素晴らしいアルバムができるとは驚きです。

有り難うございます!

― バンドをスタートした時、このような音楽性のアルバムを作ると予想していましたか?

いえ、全く!

― 最初に聴いた時、あれ、意外に大人しい音だなと思ったんです。凄く楽曲重視のサウンドになっていますね。

そうですね。やはり僕にとって音楽は曲そのもの…メロディであり、リズムなんです。

― 適度に洗練されつつ、ライヴ感もあって、つい何度もリピートしてしまいます。

嬉しいですね!Honeydewを結成する前にEcaro Bassaという女性ヴォーカルのバンドをやっていたことがあったんですが、このバンドでレコーディングの際起用したプロデューサーが凄く音に細かい人だったんですよ。ギターもなん十回と録り直して。おかげで鍛えられたし良かったんだけど僕はもっと生々しくてラフな音が好きだったんです。Honeydewでは、その時の経験が生きてるかな。

余談ですが、Ecaro Bassaは国内外のレーベルからデビューの話も3回ほどあったんですよ。結局実現しなかったんですけど。

― プロモーション・ビデオを撮影されたということですが、結局どの曲になったのでしょうか?

Little Rusty Lemon” “Heavy Rainy Day” “満月”の3曲です。今回はディレクターの方に選んでもらったんですよ。普通なら、自分たちで撮りたいビデオを選ぶところですが、どの曲がリーダー・トラックになってもいいや、という気持ちがあって。


Little Rusty Lemon

― これだけアルバム収録曲がバラエティに富んでいると、リーダー・トラックの選曲はかなり難しいですよね。どの曲をまずバンドの顔としてアピールするかで、プラスになるか否か、大きく変わると思いますが?

ああ~はい、ありますね。それは凄く懸念しているところです。このCDを聴いた人が、Honeydewをどんなバンドと思うのか…。確かに、楽曲に一貫したカラーを持っているバンド、例えばAC/DCなんかは強いですよね。

これまで僕らが失敗したのは、さっき話したEcaro Bassaもそうですが、あまりに色々な音楽要素を詰め込みすぎてしまったこと。これは自然に自分の中から出てきている影響なのですが…難しいところです。

― アルバムの収録曲を解説していただきたいのですが、まずオープニングの”Little Rusty Lemon” オリジナルのEPバージョンよりテンポを少し上げてますね。

そうですね。レコーディングの時はテンポを遅めにしてしまうクセがあるのですが、はじめ安蒜さん(サポートドラマー)もメトロノームを使ってBPMを測りながら皆で練習して、なるべく実際のライヴに近づけるように意識して録音しました。

最初に”Little Rusty Lemon“を録音したのがもう2年半~3年前ですから、サウンドもかなり変わってますね。Honeydewを結成した当時は、もっとローファイな音楽が好みだったんですよ。

(ここで、Lemonheads、The Replacementsといったケイゴさんが影響を受けた80~90年代のオルタナティヴ・バンドについての話で盛り上がる)

― 高円寺HIGHでライヴを観た時にChimp Beams(ケイゴがNY時代から在籍するダブ/エレクトロトリオ)のマリヒトさんが観客でいらっしゃって、Honeydewのライヴをへぇ~ケイゴこんなことやってるんだ、みたいな感じで凄く面白そうに見ていたのが印象的でした。

へぇー! いや、実はマリヒトくんも元々ロック好きなんですよ。80年代(中学時代)はWhitesnakeなんか聴いてたし、90年代初頭、高校時代に彼はLove And Rocketsをコピーしてたり。で、マリヒトくんと一緒にバンドを結成してオリジナルを始めたんです。グランジでした。Honeydewより全然ヘヴィでラウドな。

― グランジですか! Chimp Beamsの音楽からは想像つかないですね!ケイゴさん、以前からご自分のヴォーカルの力量については謙遜してらっしゃってますが、アルバムでのヴォーカル・パフォーマンスを自己評価すると如何でしょう?

う~ん、正直ヴォーカルは一番納得いっていないです。できれば録り直したいです(笑)

― じゅんこさんのヴォーカルについては?

“ひかり”は、実はギターと歌を同時にマイク1本を使って録った一発録りなんです。ギターが間違えば最初から録り直しして。もっと時間をかければ良くすることも出来たと思います。じゅんこのヴォーカルで良かったのは”Wake Me Up”です。コレは録っている最中にすでに声が良くて評判も良いです。

今回、ギターのレコーディングにはかなり時間をかけたのですが、最後歌を入れるころにはちょっと疲れてしまったこともあって。ミックスしてもらってからピッチの狂いに気がつくこともあるんですよね。

最初、自分の機材で録音した音源もそれなりに綺麗な音質なんですが、ラフミックスをもらって聴いてみて気がついた部分もあります。あっ、音外れてる!って(笑)

K-Goインタビューpart2へつづく